• 253 月

    ウェブで手軽に引けるCompact Oxford English Dictionary で、stateの項を引いてみましょう。第一項は日本語で「状態」の意味、第二項が「国家」に相当します。

    2 a nation or territory considered as an organized political community under one government.

    訳すと「ひとつの政府のもとで組織された政治共同体として考えられるネイションあるいは領域」です。naitonは国民か民族と訳すことが多いけれど、色々微妙な問題があるので、ここではカタカナでネイションとしています。被治者を含む政治共同体とする点でヴェーバーやラスキらの定義と似てます。

    「ひとつの政府のもとで組織された」のあたりが絶妙な限定条件ですね。地方公共団体は、中央政府と地方政府という二つの政府のもとで組織されているから国家でない、といえるわけです。これは上手い。

    国家イコール政府とする見解に相当するのは第5項です。

    5 the civil government of a country.

    訳すと「一国の文民政府」。civilはmilitaryに対する語で「軍事政府ではない」という意味だと思われます。文民政府と訳しましたが、よく分かりませんので、英語に達者の方に教示いただけたら幸いです。

    日本国語大辞典での国家の定義と同様で、どっちのも意味もあるわけですね。

    このほか、連邦構成州の意味だとか、the States の形で米国の意味だとか、なども載っていますが省略。

    他の英語辞典については、dictionary.com というサイトで引けます。stateの項については次のリンク先で表示されます。http://dictionary.reference.com/browse/state

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  • 153 月

    ヴェーバー『職業としての政治』における国家の定義は次の通りです。

    国家とは、ある一定の領域の内部で――この「領域という点が特徴なのだか――正当な物理的暴力行使の独占を(実効的に)要求する人間共同体である〔p9〕

    この国家の定義は世間でよく引用されるのですが、正当、独占、共同体、といった誤解を生じやすい概念が用いられているので注意が必要です。

    正当

    正当というのは、

    正当なものとみなされている、という意味〔p10〕

    にすぎません。支配に服従する人が正しいと思えば、第三者からみて怪しくても、それは正当と呼ばれます。ヴェーバーは、支配の正当性の根拠として、お馴染みの伝統・カリスマ・合法の3類型を挙げています。

    暴力の独占

    例えば現代日本の領域内には在日米軍が存在しており、日本国が必ずしも暴力を独占しているわけではないので、ヴェーバーの定義によると日本国は国家ではないことになってしまうかもしれません。

    暴力の独占について、ヴェーバーは次のように説明しています。

    国家以外のすべての団体や個人に対しては、国家の側で許容した範囲内でしか、物理的暴力行使の権利が認められないということ、つまり国家が暴力行使への「権利」の唯一の源泉とみなされているということ、これは確かに現代に特有な現象である。〔p9-10〕

    在日米軍の存在は日本国が許容しているから、日本国は無事に国家ということになるわけです。ただ、他者の存在を許容することは「独占」とは呼ばないですよね。「独占」というよりも、イェリネクのいうところの「始源的」がぴったりくると思います。イェリネクによる国家の定義はまた別稿で書きます。

    共同体

    『職業としての政治』は共同体について定義していません。『社会学の根本概念』では共同体ではなく団体の語を用いています。詳しくは(2)で書く予定ですが、この団体は被治者を含みます。

    ヴェーバーの定義する国家は政治家や官僚の共同体であると思い込んでいる人もいるようですが、それは誤りです。ウェーバーにとっての国家は、あくまで一般民間人を含む国民共同体です。この点はラスキによる国家の定義と同様です。

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  • 143 月

    Laski, H.J., The State in Theory and Practice, 1935

    訳書の書誌情報 http://opac.ndl.go.jp/recordid/000000886391/jpn

    国家概念を黙殺する多元主義国家論で有名なラスキが、その多元主義を脱した後に書いた著作です。

    これを書いた時期のラスキはマルクス主義に傾倒していたといわれていますが、国家を権力組織とみる所謂マルクス主義国家論とは異なります。ラスキによる国家の定義にも書いたように、ラスキにとって国家とは、支配機構を有する国民社会全体を指しているのですから。

    20世紀前半の英米政治学からみた国家論のサーベイとして優れていると思われます。日本でも人気だったラスキの著書なのに、何故もっと注目されないのか不思議です。

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